唐突ですが、旅に出ます。探さないでください。
・・・ま、誰も探してくんないでしょうけど。二泊三日だし。
旅はいいものですよね。車や電車でゆったりと、いつもとは違う場所を訪れる・・・。
京都駅から鈍行に乗り込む。これから何時間もの長旅である。行き先が田舎なためか、乗客もまばらだ。窓際のボックス席に腰掛ける。
荷物を網棚において落ち着くと、手荷物から小説を取り出す。買いはしても、時間がなくてこういう時でなければなかなか読めないものだ。
電車が走りだす。少しだけ外の景色を眺めてから、本へと目を落とした。
「・・・あの、向かいの席、空いてますでしょうか?」
視線だけを上げてみると、私と同じように大きな荷物を持ち、通路に立った女性が尋ねてきていた。軽い笑みと手振りだけで、どうぞ、と示す。彼女は一礼し、向かいに腰を下ろした。
私は文庫を読みながら、少し視線をずらして彼女を観察してみる。
年のころは私より少し上、二十代後半くらいだろうか。肩口まで伸ばした髪と、落ち着いた服。薄く化粧した整った顔立ちが、窓の外を眺めていた。ふいにこちらを見た彼女と視線が合う。薄笑みを浮かべた彼女から、私はあわてて視線をそらした。
しかしこんな時期に電車で一人旅だろうか?私のような暇な大学生ならばともかく、世間では普段日のこんな平日に、大人の女性が旅行と言うのも妙な話だが。まさか今時傷心旅行というわけでもあるまいに。
もう一度本から視線を外すと、こちらを見ていた彼女と唐突に目が合って驚いてしまった。だが彼女は、私と違い視線が合っても、動揺せず落ち着いたものである。
「あなた『も』・・・お一人でご旅行ですか?」
ふいに尋ねてくる彼女。・・・ことさらに「も」を強調したように聞こえたのは気のせいだったろうか。
え、ええ、と生返事を返しながら、そのとき私はなんとなく、今回の旅行の予定は大幅に狂うことになりそうだ、となんとなく感じていた・・・。
なんてことはねえよ?ウメミツ。
「電車で向かいの席にかわいい子が一人で乗ってくるなんてことはねえぞウメミツ。」とだけ書くつもりが何でこんなに長くなるんだろう・・・。
ぜんぜん主題に入れてないので次回に続く。
・・・ま、誰も探してくんないでしょうけど。二泊三日だし。
旅はいいものですよね。車や電車でゆったりと、いつもとは違う場所を訪れる・・・。
京都駅から鈍行に乗り込む。これから何時間もの長旅である。行き先が田舎なためか、乗客もまばらだ。窓際のボックス席に腰掛ける。
荷物を網棚において落ち着くと、手荷物から小説を取り出す。買いはしても、時間がなくてこういう時でなければなかなか読めないものだ。
電車が走りだす。少しだけ外の景色を眺めてから、本へと目を落とした。
「・・・あの、向かいの席、空いてますでしょうか?」
視線だけを上げてみると、私と同じように大きな荷物を持ち、通路に立った女性が尋ねてきていた。軽い笑みと手振りだけで、どうぞ、と示す。彼女は一礼し、向かいに腰を下ろした。
私は文庫を読みながら、少し視線をずらして彼女を観察してみる。
年のころは私より少し上、二十代後半くらいだろうか。肩口まで伸ばした髪と、落ち着いた服。薄く化粧した整った顔立ちが、窓の外を眺めていた。ふいにこちらを見た彼女と視線が合う。薄笑みを浮かべた彼女から、私はあわてて視線をそらした。
しかしこんな時期に電車で一人旅だろうか?私のような暇な大学生ならばともかく、世間では普段日のこんな平日に、大人の女性が旅行と言うのも妙な話だが。まさか今時傷心旅行というわけでもあるまいに。
もう一度本から視線を外すと、こちらを見ていた彼女と唐突に目が合って驚いてしまった。だが彼女は、私と違い視線が合っても、動揺せず落ち着いたものである。
「あなた『も』・・・お一人でご旅行ですか?」
ふいに尋ねてくる彼女。・・・ことさらに「も」を強調したように聞こえたのは気のせいだったろうか。
え、ええ、と生返事を返しながら、そのとき私はなんとなく、今回の旅行の予定は大幅に狂うことになりそうだ、となんとなく感じていた・・・。
なんてことはねえよ?ウメミツ。
「電車で向かいの席にかわいい子が一人で乗ってくるなんてことはねえぞウメミツ。」とだけ書くつもりが何でこんなに長くなるんだろう・・・。
ぜんぜん主題に入れてないので次回に続く。
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普段は書くのに苦労するのにこういうことだけすらすらと書ける自分がちょっといやです。
普段は書くのに苦労するのにこういうことだけすらすらと書ける自分がちょっといやです。
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という設定は夏目漱石の『三四郎』の中にも登場しますね。
『草枕』の中にも或る定番シーンがありますし、漱石という人は、
案外そういうシチュエーションが好きだったのかもしれません。