シュレック、というヒットしたアメリカの映画がある。この主人公は怖いモンスターの風貌でありながら、とても根は真面目で優しいという設定だった。そんな意外性が観客の心を捕らえたのであろう。
このサークルにも、ちっちゃくってかわいらしいあだ名でありながらその実、サークルを支えるほどデッカイ男がいる。そう、ミイこと稲川雅之その人である。

単位取得数、率ともにサークルのみならず学部でもトップクラス。運転させればAT限定で取ったとは思えないほどのドライビングテクニック。そしてやはり圧巻は作業だろう。その妥協を許さぬ正確さ、仕事を選ばぬ万能ぶりはもはやサークルになくてはならないものだ。

思えば寡黙な男だ。会話もそうだが、メールも短い。同郷の市場が饒舌な分そう感じるということもあるが、サークル入会時、黙々と真面目に遅くまでリブを作っていた姿は今でも記憶に残っている。その姿はまさに熟練工といった感じで、とても新入生とは思えなかった。今でも、やはり纏う雰囲気は我々の一段上であるように感じられる。本来軽口であるはずのあだ名にさえ、多くの人間が「ミイさん」と敬称をつけてしまうのも、無理からぬことである。
そんな彼であるからこそ、その一言一言には重みがある。つい先日、ミーティングでの遅れがちだった各部所の報告を聞いての「・・・4月中頃までには、機体完成させるよ?」という一言は、休み気分で緩みがちだった私たちの心を再びキリリと締め上げるには十分であった。

そんな訳で、サークルでもミイへの信頼はすこぶる厚い。しかし、ただ寡黙で優秀なだけでは人心を集めることはできない、むしろ敬遠されがちになるというのは周知の通りである。それでいてなぜミイはこれほど皆に好かれるのか。
私が思うに、彼はサークルにとっての優秀な「ツッコミ」なのだとおもう。
漫才において、ツッコミは極めて重要だ。ボケのここが笑いどころだと上手く示してやる。それはほんのわずかな狂いもなく完璧なタイミングで、完璧にツッコまなければ、その笑いを殺してしまうし、漫才が締まらない。それだけではない、ただ機械的にツッコミを入れるだけでは優秀なツッコミとはいえない。時にはノリツッコミのように、自らもおどけて見せることで、笑いを増幅させることも必要なのだ。

ミイは寡黙だ。しかし、時には大声で笑うこともあるし、くだらない話を振ったりもする。サークルの和やかな雰囲気を壊すことはない。むしろ普段真面目な彼の笑いが、サークルの雰囲気をいっそう和らげることもある。
だが、彼は最後の一線では厳しく忠告を発する。サークルが、本来の姿から脱線しすぎることのないように。Shooting Starsが、Shooting Starsであるように。

サークルで彼が「なんでやて!」とツッコミを入れてくれているのを目にするたび、私の脳裏には鳥コンというステージで我々の機体が拍手喝采を浴びている光景が、しばしば思い浮かぶのである。
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> Shooting Starsが、Shooting Starsであるように。
このセリフは、よくあるような言葉ではありますが、割と気に入ってたり。

この話を書くにあたり、ミイの高校からの旧友、市場に「ミイのいいとこって、どんなとこかなあ?」と尋ねたところ、
「ぜんぜんわかんねー」
・・・。
ためしにミイに同じ質問をしてみる。
「下ネタ・カミカミ・爆笑・天然ボケ。」
・・・。
これを市場に教えてみる。
「じゃあ特技は小型化でいいよ。」
・・・・・・。

ひょっとしてバードマンニッキ友情にヒビ入れてる?